交通震動に共振しにくい建物の構造へ
当社の北側には久留米市と大分市を結ぶ国道210号線が通っています。長年、大型車やバスが通過する度に振動を感じてきました。このたび、その対策として地中埋設防振壁の施工を行ったので報告します。
【原因について】
発生原因は道路の平滑性、地盤の構造、交通車両
の重量・速度、マンホールや継目の段差等があり、地
表振動や地中振動として伝搬されます。伝搬は振動
発生源からの距離、伝搬する地盤の構造、振動の周
波数等により影響します。これを受振する建物の構造
や固有周期に影響し建物の振動が生じます。
対策は発生源である道路の改善ですが行政庁の管轄です。建物も固有周期の改善などの対策もあります
が、今回は伝搬の減少を目的とした防振壁を採用しま
した。
国道210号線に面して西側に鉄骨造2階建の本社が、東側に鉄骨造平屋のテナント棟が並んで立ってい
ます。サウンディング地質調査の結果 、換算N値50以上の層は本社前GL-5mからテナント棟東端GL-9m
と傾斜しテナント棟側が軟弱層が厚くなっていました。
対策工事前にテナント棟前(①)と本社前(②)の道路境界線で振動測定を実施しました。測定時間帯は異
なりますが、振動レベルの最大値は①が74.9db、②が61.3dbとテナント側(①)が13.6db高い結果となって
いました。その差の発生原因は下図の着色部分に見られる道路の不陸やマンホールの段差、軟弱層の
厚さと推定されます。又、その頻度は約1分間に1回、震度2程度の振動が発生しています。
多くの文献や事例を参考に振動発生源と推定される箇所に対して、下図に示す範囲に防振壁を設ける
事としました。防振材は発泡ポリススチレン製排水材を地中3mまでの深さに埋設する方法を採用しました。
工事着手前
工事着手前
土留め工事
防振材
最下層防振材セット
最下層防振材セット
押さえコンクリート配筋
押さえコンクリート
工事竣工後
■ 対策後の測定
室内側測定は、テナント棟1階、本社1階及び本社2階で行ないました。体感の効果は満足できる結果が出ています。本社2階では、会議中も殆どゆれを感じにくくなりました。本社1階も同様に効果が出ています。テナント棟1階の振動は体感的には減少したものの振動レベルが高かったのでまだ時折ゆれを感じます。測定結果の比較では、前にも述べた様に同一条件ではないので単純比較はできませんが本社2階につてみれば、本社前面は対策しなかったにも関わらず4db程度下がっています。同様に本社1階も対策をしていないが約0.8dbと僅かに下がっています。テナント前からの振動が対策により減少した効果だと考えられます。テナント棟での測定結果も僅かに減少していますが、まだ若干の揺れを感じられます。軟弱層の厚さに対する防振壁の深さが不足していると考えられます。
■ 終わりに
今回の交通振動障害対策工事はその効果が認められますが、予想したように振動レベルの数値効果は4~6db程度だったのと、同時測定の比較ができなかったので、明確な結果が得られませんてせした。今後同様な対策工事を行うには、室内室外同時に測定するなど測定方法の仕方を変えてより効果の確認が取れる方法による測定も考慮したいものです。
新築工事に対する対策も、事前検討のほか、対策費用についても防振壁の建設以外に交通振動に共振しにくい建物の構造や、防振対策を考慮した基礎の設計などの工法も検討し、お客様に快適な空間を提 供できるようにしたいと考えています。
一般住宅外壁に付着した物体が何なのかを調べるため、現地での付着物を採取してマイクロ スコープにて確認をする。
住宅外壁に付着する物体を削りとる方法とテープに付着する方法で 採取し、内容物を確認するため㈱久留米リサーチパーク オープンラボの測定機器(デジタルマイクロ スコープ)を利用した報告です。